『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』(矢部宏治著)のご購入をおすすめします

2016/01/03

近・現代史を専門とする知り合いにすすめられ、『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』(矢部宏治著)を読みました。

日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか

これは現代日本を考える上では、まさに必読。ぜひご購入をおすすめします。

 

 

今の日本が「どこかおかしい」と思っている人は、多いのではないでしょうか?その「おかしさ」は、特に福島での原発事故以降、はっきりと姿を現すようになっています。

「絶対に事故は起きない」はずの原発で、あれだけ大規模な事故が起こったのだから、まずはきちんと原因を究明し、追求すべき責任を追求する。その上で、除染や被害者の救済を万全におこない、さらには原発には頼らない、新たなエネルギー政策を採用していかなければいけないでしょう。

 

ところが現状は、それとは全く正反対の方向へ進んでいるように見える。

あれだけの大規模環境汚染を引き起こした東京電力は、経営陣の誰一人として訴追されることもなく、退陣はしたものの、無事再就職を果たしています。原因の究明も、御用学者の形ばかりの検証がおこなわれるだけ。

除染もおざなり、汚染状況も、きちんと測定・公開されない。子供たちは甲状腺がんの怖れがあるのに、そのための対策も取られない。

避難するのもままならず、いま福島では、「大規模な人権侵害」が起こっていると言って、過言がない状況です。

 

それなのに、政治はそれに対して動こうとしない。

菅首相はまだ、「脱原発」を口にしましたが、それが野田首相になると、大きく後退してしまいます。自民党が政権を取ると、原発事故のことは忘れられたかのようになり、安全性が確認されない原発を再稼働、さらには輸出までしようとしている。

国民は、世論調査をすれば大半が、原発再稼働には反対です。それなのに、その声は政治に反映されない。

それどころか、特定秘密保護法を制定することで、政府は国民の知る権利を制限し、国民を抑圧する方向に進もうとすらしています。

 

「自民党がおかしい」のは、言うまでもないでしょう。しかし背後に、もっと大きな「闇」があるように感じられる。

学者や官僚、産業界が自民党と結託し、大きな利権集団を形成している。さらには集団的自衛権・閣議決定の経緯を見ると、「アメリカの意思」が働いているようにも見える、、、

 

「日本はなぜ、このようなことになってしまったのか?」

「この現状を、どうしたら変えられるのか?」

今、そのように考えるのは、ぼく一人ではないと思います。

『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』の著者、矢部宏治氏も、この問いを正面から受け止めている人の一人です。

 

矢部氏は、ぼくは名前も聞いたことがありませんでしたが、巻末のプロフィールによると、1960年生まれで「書籍情報社」代表。本には、

「私は大学を出たあと、大手広告会社に入ったのですが、たった2年で会社を辞めて、あとは小さな出版社をつくって美術や歴史など、自分の好きなジャンルの本ばかりつくってきた」

と書いてあります。

「ほとんど選挙へも行ったことがない、完全なノンポリ」だったとのこと。

そのノンポリが、4年前から、沖縄の基地問題に関わるようになりました。

 

きっかけは、民主党・鳩山由紀夫首相の失脚。

鳩山首相は、「沖縄・普天間基地を県外または国外に移設する」と公約して選挙を戦い、政権交代を果たしました。ところがその、国民の支持をうけた首相を、官僚が攻撃する。

検察は小沢幹事長にたいする国策捜査を行い、大手メディアもそれに協力。鳩山首相が官僚と秘密会合を行うと、翌日には、その内容がメディアにリークされてしまう。

 

日本は、「民主主義」の国だったはず。それならば、国民に選ばれた政権の言うことを、官僚は聞かなければいけないでしょう。

ところが現実は、官僚は鳩山政権の言うことをまったく聞かず、結果として鳩山首相は、首相の座を降りました。

「鳩山政権が崩壊するまで私たちは、日本人はあくまで民主主義の枠組みのなかで、みずから自民党と自民党的な政策を選んできたのだと思っていました。(略)対米従属路線を選んできたけれど、それは自分たちの判断でそうしてきたのだと。

しかし、そうではなかった。そもそも最初から選ぶ権利などなかったのだということがわかってしまった。日本の政治家がどんな公約を掲げ、選挙に勝利しようと、「どこか別の場所」ですでに決まっている方針から外れるような政策は、いっさいおこなえない。事実、その後成立した菅政権、野田政権、安倍政権を見ていると、選挙前の政策とは正反対の政策ばかりを推し進めています。」

矢部氏はこの現実を知ったとき、「じんわりとした、しかし非常に強い怒り」がわいてきたそう。

その「怒り」が、まったくの素人である矢部氏を、沖縄問題に向かわせる動機になったのだそうです。

 

矢部氏はそれから、その「別の場所」とはどこなのか、専門家の協力も得ながら調べていきます。その結果、

  • 「日米地位協定」などアメリカとの条約は、日本国憲法よりも上位にあること
  • 明文化された条約のほかに数多くの「アメリカとの密約」があり、それも憲法より優先されること
  • 現在でも月に2回、米国担当者と官僚との会合がおこなわれ、密接な意思疎通がはかられていること
  • そのような状況を形作るにあたり、昭和天皇およびその側近が、大きな役割を果たしていること

などなど、驚くべき事実が明らかになっていきます。

 

沖縄を初めとして日本に点在する米軍基地にしても、それを移設する法定根拠を、日本は持っていない。

アメリカが「動かさない」といえば、どんなに大規模な人権侵害が沖縄で起こっていても、日本はそれを変えることができません。

だから官僚も、法的に強い側、アメリカに付くことになると、矢部氏は言います。

 

日本は「独立した民主主義国家」であると、ぼくもこれまで思っていました。

しかしそれは間違いで、法的には、日本は完全にアメリカの「属国」、さらに国際法上は、世界で唯一、いまだに「敵国」のあつかいを受けているそうです。

 

このことは、日本人にとってあまりに屈辱的であるため、それが国民に知られないよう、当初から配慮されてきたとのこと。

日本国憲法も、実際にはアメリカ占領軍(GHQ)が作成したものでありながら、そのことは伏せられて、あたかも平和憲法を日本人が進んで掴みとったかのように伝えられてきています。

 

それではそのような「秘密」を、なぜ矢部氏は知ることができたのか?

根拠のない、ただのよくある「陰謀論」の類ではないのか?

そう思う人もいるでしょう。

 

しかし矢部氏は、たしかな資料に基づいて書いています。

「アメリカによって情報公開された資料」です。

 

アメリカは、自国に都合が悪いものでも、30年たてば、情報を公開するそうです。

日本国憲法制定の経緯などは、3年後にはもう公開されたとのことですし、最近では「ウィキリークス」によって暴露された、数多くの公文書もあります。

だから上のようなことは、世界の人はすでに知っていること。

「知らぬは日本人ばかり」という話です。

 

「日本が独立国ですらない」という現実は、直視するのはつらいです。

さらにそれを、政権だけでなく、官僚、学者、財界、マスコミなどなどが、みずからの利益のために、総ぐるみになって推進している。

選挙だけでは、それを変えることができないのは、民主党の敗北で証明されたとおりです。

「それではどうしたら?」

誰でもそう思うでしょう。

 

しかしこの本がすごいのは、それにたいして、非常にシンプルな「解決策」を提案していること。

その内容は、ここではあえて書きません。ぜひ本を読んでください。

ぼくはそれを読み、「なるほど」と膝を打ちました。

 

それはもちろん、簡単なことではありません。

でもこれから10年~20年の目標にするにはまさにふさわしい、十分実現可能なことだと思えます。

 

この本は、とくに「若い人」には、ぜひ読んでほしい。これからの希望が湧いてくると思います。

矢部氏は、本の終盤で次のように書いています。

とくに若い読者の方に聞いていただきたいのですが、70年つづいた「戦後日本」という国家は、遠からず終焉をむかえます。考えてみてください。首相になった人間が必ず公約と正反対のことをする。すべて社会保障にあてますと約束して増税し、大企業減税をおこなう。お金がもったいないから、子どもの被曝に見て見ぬふりをする。人類史上最悪の原発事故の責任をだれもとらず、なんの反省もせずに再稼働しようとする。首相の独断で勝手に憲法の解釈を変える。そんな国が、これ以上つづいていくはずがありません。(略)

「戦後日本」が終焉へと向かうなかで、「あたえられた民主主義」ではなく、(結局そんなものはどこにも存在しませんでした)、本当の民主主義を自分たちの手で勝ちとっていくプロセスが、必ずどこかで始まります。(略)そう考えると、とてもやりがいのある時代に生まれたと言えるのではないでしょうか。

ぼくもまったく、同感です。

 

文章は、著者はさすが「編集のプロ」だけあって、小難しいことは全くなく、きわめて平易。

一気に通読できると思います。

 

全285ページ、価格は「1,200円+税」。

装丁もシンプルで、この手の単行本としては、かなり安く抑えられていると思います。

 

 

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